4月から始まった年金カット法案…マクロ経済スライドはどうなる?

スポンサーリンク

2016年末に成立した年金制度改革関連法案。

この法案は、野党が猛反対していたもので、別名「年金カット法案」とも呼ばれていました。

この法案に含まれている年金カットの施策が、2018年4月から施行されています。

このことによって、我々の老後資金への影響はどのようなものになっていくのでしょうか?

年金支給の仕組み

年金額は毎年4月に改定されています。

公的年金の支給額は、「物価」「賃金」によって決まります。

どちらを適用するかは、物価・賃金の上昇率や下落幅によりますが、この2つで調整するのが基本的なルールになっています。

しかし、少子高齢化の進展によって、保険料を納める加入者は減り、受給者は増えてきています。

支える側と支えられる側のバランスが悪くなってきているのです。

そこで、2004年、物価と賃金で決まった年金の伸びを少しずつ抑えて現役世代の負担を軽くする仕組みを導入しました。

これが「マクロ経済スライド」と呼ばれています。

マクロ経済スライドでは、年金加入者の減少率と平均余命の伸びで減額率を決めていきます。

無理なく、加入者が受給者を支えられる状態になればマクロ経済スライドは終了します。

厚生労働省では、当初、2023年にはマクロ経済スライドを終了させ、理想の状態になる見通しでした。

しかし、マクロ経済スライドは、物価・賃金が下がったときには適用しないので、まだ1度しか実施されていません。

当初予定していた給付抑制の効果は、全く上がっていない状況になっているのです。

このため、マクロ経済スライドの終了時期は20年先送りとなり、2043年に終了する見通しに下方修正されました。

減額率の繰越

4月から施行されている年金カット法案では、マクロ経済スライドの効果を上げるため、物価・賃金が下がっても、マクロ経済スライドを発動できるようになります。

ただし、年金額が前年度より少なくなると、高齢者の生活に影響が出るので、物価・賃金が下がったらすぐには減額せず、翌年度以降に繰り越す仕組みになっています。

物価・賃金が上昇したときに、まとめて差し引くようにするのです。

ひとつ例を挙げてみます。

2018年度:マクロ経済スライドによる減額率0.3%
2019年度:マクロ経済スライドによる減額率0.3%
2020年度:マクロ経済スライドによる減額率0.3%
2021年度:マクロ経済スライドによる減額率0.3%

2018年度:物価・賃金の上昇なし
2019年度:物価・賃金の上昇なし
2020年度:物価・賃金の上昇率1%
2021年度:物価・賃金の上昇率1%

この例で考えた場合、2018年度は、物価・賃金の調整だけで給付抑制をすることはできません。マクロ経済スライドも発動されません。

しかし、減額率0.3%は繰り越すことができるようになります。

2019年度も、減額率0.3%は繰り越されることになるので、繰り越された減額率の合計は0.6%となります。

2020年度には、物価・賃金が1%上昇していますが、2020年度の減額率0.3%と繰り越された減額率0.6%の合計である0.9%を差し引き、年金額の増加を0.1%に抑制することが可能になります。

2021年度には、物価・賃金が1%上昇していますが、2021年度の減額率0.3%を差し引き、年金額の増加を0.7%に抑制することができるようになります。

このように、年金カット法案では、マクロ経済スライドを効果的に発動させることを狙いとしています。

しかし、デフレ経済が続き、物価・賃金がそれほど上がらない状態が続けば、減額率の繰り越し額が増えるだけで、狙い通りの抑制効果が出ない可能性もあります。

年金カット法案では、さらに、2021年から、賃金が下がった場合は、年金額を減額できるようになります。

少子高齢化時代において、高齢者に大きな影響を与えることなく、現役世代の負担を少しでも減らしていく。

とても難しい施策だと思います。

森友問題や加計問題、セクハラ問題のゴタゴタもいいですが、偉い人たちには、よりよい年金の仕組みについて、頭を使ってもらえたら、と思っています。

スポンサーリンク
  • LINEで送る

コメントを残す

サブコンテンツ

アーカイブ

このページの先頭へ